情報処理学会 EC2026にて発表しました「Minecraftにおける建築的意匠を活かしたボクセルデフォルメ変換手法の提案」(2026-09-03)
愛知工業大学小栗研究室所属の鈴木将馬です.
2026年9月1日~3日に京都産業大学にて開催された「エンタテインメントコンピューティング2026」にてデモ・ポスター発表を行いましたので,ご報告させていただきます.
タイトルは「Minecraftにおける建築的意匠を活かしたボクセルデフォルメ変換手法の提案」です.
研究概要
概説いたしますと,これは
"現実の建物をサンドボックスゲーム「Minecraft」へ,建物の特徴(窓や屋根などの各パーツの素材,役割,形状)を考慮した変換手法を実装する" 取り組みです.
ここで,「Minecraft」って何だろう?と思われた方もいらっしゃると思います.
「Minecraft」は,立方体のブロックで構成された3Dの世界で自由に遊ぶゲームです.2023年時点で累計ダウンロード数が3億を超えています.
直感的に3D空間上でブロックを配置したり壊したりすることができ,年齢や経験を問わず,コンピュータでの立体の表現を実現することができます.
そんな中,こういったMinecraftの仕様を活用した事例があります.
- 今は廃れた地方の城をMinecraftの中に再現し,当時の生活空間を体験する
- Minecraftに現実の街を落とし込み,都市デザインのワークショップを展開する
こうした事例をさらに活発にするためには,「歩いて触って体験できるデジタル空間」という価値を持つMinecraftのワールドがその分必要です.デジタルカルチャー研究室においても,Minecraftにおける文化財の大規模なアーカイブや,昔の街並みの再現というのは,文化財保存・活用の観点から期待されます.
そういった大型・大量のMinecraftワールドを効率よく構築する手法が必要です.
その中で「自動変換」を行うアプローチがありますが,既存手法では建物の表面の汚れがそのまま変換されたり,建物の意匠(ガラス窓,扉,屋根の素材など)が適切に変換されないという課題がありました.
そこで本研究では,建物の素材や形状,役割といった建築的意匠を活かしたデフォルメ変換手法を提案しました.
建物の正面写真から画像解析を用いて部位の素材や役割を分析します.
抽出した特徴の重要度を評価して目立たせる部分や省略する部分を判定しながら,Minecraftの世界観に合った形にデフォルメしてブロックを配置します.
具体的にはユーザが建物の写真を元に生成AIによるラベリングやスケール調整を行い半自動的に変換できるGUIアプリを開発しています.

この際,以下の提案手法を適用しました.
- 手法 1(VLMセマンティックラベリング):AIによる画像解析で特徴を検出.特徴の位置,役割・素材・形状,特徴の重要度を記録します.このとき,検出された特徴が建物のシンボル(屋根の鯱鉾,鳳凰像など)は重要度が高く評価され,小さな汚れなどは重要度が低く評価されます.
- 手法 2(特徴の重要度評価に基づくデフォルメの決定):各特徴の重要度の評価と,GUI上でユーザが決定するデフォルメ度の組み合わせから,保持・強調・喪失を判定します.

手法 3(テクスチャ選択):役割ごとの候補群から,RGB二乗距離による色の近傍探索でテクスチャ候補を割り出し,GUI上でユーザーが決定します.

感想・反省
デモ・ポスター発表ではもっと入念に準備するべきだったという反省が得られました.
デモの使い方がユーザ向けに明快ではなく,操作説明に時間をかけてしまい,議論をする時間が少なくなってしまう結果となりました.
一方で,他の方の魅力的なブースでは,ポスターを読ませる前にデモ展示を触らせて研究内容がすぐに分かるような工夫がなされていたり,思わず触ったり見たりしたくなるような展示がなされていたりと,デモ展示への徹底ぶりを実感しました.
難しく言葉で順番に説明することなく,直感的に研究内容の概要が伝わり,体験ができるというところで,デモの在り方というのがよくわかりました.
2日目の懇親会では,特に他大学の同級生・先輩と交流することができました.研究内容や日頃の研究活動,趣味や研究とのつながりなどで語りあうことができました.いずれの方々も優秀な発表や活動をされており,私自身の研究活動や運用の参考になりました.
余談ですが,ECの後に少し時間がありましたから,開催地を知る一環で,京都市内を観光しました.にしんそばを食べたり,東山で夜景を撮影したりしました.
さいごに
今回は初めて学会という場での発表となりました.私自身の課題や改善点がよく分かった一方,発表内容に興味を持ってくださる学生・先生方と深く交流できたり,素晴らしい発表の数々を対話的に議論することができたりした,大変濃密な3日間でした.
最後までご高覧いただき,有難うございます.
